みずのが世界の片隅で

2019年5月21日から世界一周。できるだけ陸路で。高校の地図帳持って旅してます。

【インド・ラダック⑤】大自然と信仰が息づく秘境・ザンスカール 2019.7.20~21

******2019.7.20******

 

朝9時。

本当は早起きして散歩でもしようかと思っていたけど

昨夜長時間移動で疲れ切った体はそんな無茶をきいてくれませんでした。

 

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宿併設のレストランであつーいチャイで一日がスタート。

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砂糖の入れ物が素敵。チベット色が出ています。

 

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朝食は薄いパンのようなインド料理のパロータ。

中身が色々変えられてこれはジャガイモ入り。

珍しくスパイスがきいてなくてイモの甘みもあって美味しい。

 

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今いるのがザンスカールの中心地・Padum(パドゥム)

今日はこれからパドゥムをふらっとして

午後からザンスカールで一番大きなゴンパがあるKarsha(カルシャ)へ行きます。

 

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宿の前のメインストリート。

ここを抜けていくと丘の上にゴンパがあり,そこの景色が良いというので行ってみます。

 

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 建築中の建物や土木工事が多く見られる。

これから色々開発って感じなのか。。

 

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一本道をどんどん登っていきます。

 

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見た目より遠くてまちから1時間かかってゴンパに到着。

 

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タルチョと立派なお堂の向こうに

 

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ザンスカールの集落が広がっています。

まるで絵画のような景色。

パドゥムはもちろん見えていますが,この写真の全てがパドゥムのまちではなくて,他の村もたくさん見えています。

かなり小さな単位の村が点在しているようです。

 

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そして奥の山際には午後から目指すカルシャが見えています。

改めて,すごいところにあるな!!

 

 

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チベット柄の絨毯がずらり。

無造作に干されてますがかなり貴重なものに見える。

 

f:id:mizuno1221:20190807013604j:plain冬には完全に外界から隔絶される厳しい自然環境のザンスカールですが,今は季節もよく,花も綺麗に咲いています。

 

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ここの牛は鼻輪にしめ縄みたいなのが括られていました。

 

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まちの外れにはオールドパドゥムと呼ばれるエリアがあって

こんな巨岩と一体化した建物や

 

f:id:mizuno1221:20190807013707j:plain年季の入った建物が並んでいますが,今はあまり人が暮らしていないのかあまり人の気配がしない。。

 

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まちの中心へ。f:id:mizuno1221:20190807013753j:plain

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ザンスカールの人たちは小さなコミュニティなのでみんな知り合い。

道端で出会ったら,ラダック語でおはよう,こんにちは,ありがとう,さよなら,なんでも使える便利な言葉ジュレー」で握手しておしゃべり。

久々に旧友に会ったみたいなテンションだけどたぶん毎日会ってる。笑

 

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 宿に戻ってきてお昼に。

 

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フライドモモ(揚げ餃子)

肉はマトンをチョイス。

めちゃくちゃジューシーでこれはビール3杯はいけるやつ!!

 

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一緒についてきたケチャップその名もEverest。笑

モモにはやたら濃い調味料が付いてきます。

 

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地元の人がたくさん食べに来てます。

ここでも大体みんな挨拶をかわしてる。

 

お昼を食べたら今日の目的地・カルシャへ。

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午前中に丘から見えていたアレです。 

 

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目視できるくらいなので歩きでも行けるだろうと意気揚々と出発。

 

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大自然と心地いい風をバックに歩いていきます。

 

が・・・

 

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これが全然近づいてこん!!!汗

 

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前方。

 

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後方。 

 

この景色が軽く2時間くらい続く。

そんなにかからないだろうと全財産23kgの荷物を背負って歩くのは無謀だったかもしれない・・・

 

でもここまで来たら引き返せないので先へ進む。

 

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ザンスカール川にかかる橋。

これを越えたらカルシャーーー!!

 

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マジでずっと大きさ変わってない気がするんですが。笑

 

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結局4時間近くかけてカルシャの村へ到着。

とりあえず今日泊まれるところを探します。

ホテルなんてないので,個人のお宅にホームステイ交渉。

小さな商店のおっちゃんに聞いてみたら

「うち泊まるか?」

と。おっラッキー!

 

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こちらが商店兼お宅。


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中を見せてもらうと客間のようなところにマットが何枚か敷いてある。

これはみんなで雑魚寝スタイルですね!全然OKです。

 

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掛けてあった民族衣装?これ着てる人あんまり見たことないなぁ。

 

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腹減ったか?と聞かれ素直に減った!というとチャパティ出してくれました。

どこまでも優しきおっちゃん。

 

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日が暮れるまで時間がありそうだったのでゴンパの方へ行ってみます。

相当急な坂道を登っていく感じ。

 

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村の中心にあるマニ車の近くでは地元の兄ちゃんとおっちゃんがダベってます。

大変失礼な物言いですが,パドゥムもここもこんな感じで「いつ仕事してるんだろう?」って人が割と多い(特に男性)です。

ストレートに聞けないけどめっちゃ気になる。

 

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坂を上っていくと大きな建物が。

入口に居た僧侶に手招きされたので中へ入らせてもらいます。 

 

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通されたのは厨房らしき設備と

 

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食事スペースらしきところがある部屋。

 

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ありがたくもチャイとビスケットをいただきました。

 

そのまま上の階からとても眺めが良い屋外へ。

 

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パドゥムのまちが。

こう見たらやっぱ距離あったなぁ。笑

 

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子どもたちが走り回る姿

村人が集まって話している声

犬や鳥や牛の鳴き声

川の水が流れる音

 

ここからは村の様子がよく分かります。

 

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落ち着いた口調で話す僧の方。

 

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建物の外に出るとちびっ子と遭遇。

 

しっかり英語を習ってるからか

どこから来たの?

何歳?

写真みせて!

積極的に話しかけてくれます。

 

日本語にも興味があるみたいで

数字の1から5を教えてあげると

「いち,に,さん,よん,ごーーーー!」

と何回も声に出して嬉しそうに走って帰っていきました。

 

日が暮れかけたとき

「カーン」と鐘が鳴る音が。

歩いていくとマニ車が回っていて1人の僧侶がお経を唱えながらマニ車を回していました。

そばに行くと「唱えてみなさい」というジェスチャーでゆっくりお経を唱えます。

 

後についてお経を唱える。

 

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マニ車に書いてあった文字。

これを唱えながらマニ車を回すようです。

音的には「オンマーニーペンメイフン」と聞こえる。

 

しばらく唱えていると

「スリープ?」といわれ,どうやらここに泊まるか?

と言ってくれてるみたい。

 

ゴンパによっては宿泊可能なところもあると聞いていたので

これはなかなかない。泊まらせてもらおう!

 

てことで一度受け入れてくれた商店のおっちゃんのところに行き

事の次第を伝えると

明日パドゥムに戻るんだな?うちに寄っていきなさい。と言われ

丁寧にお礼を言って荷物をまとめてマニ車へ。

 

僧侶についてくるよう促され後に続くと

 

そこは僧侶のお宅でした。

 

正確にはゴンパの中の建物なので僧侶が暮らす僧房の一つなんだと思いますが

中は完全に個人宅です。

 

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部屋の一角に寝床をつくってくれました。

 

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またしてもチャイとビスケットをいただく。

この組み合わせは鉄板なのか。

 

しばらくすると僧侶はキッチンの方へ行き,しばらくすると夕食を出してくれました。

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たっぷりのお米を炊いてくれていて

彼はというときな粉におかずを混ぜて食べているので

「あなたお米は?」と尋ねると

ジェスチャーで「食べなさい」と。

 

その表情や所作はずっと穏やかで本当に仏様のよう。

 

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彼が食べていたきな粉(サンパというらしい)

 

食事を終えると仏教のことをラダック語と日本語でお互い教え合いました。

 

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数珠。タンガッというらしい。

 

彼は英語がそこまで得意じゃなく(僕もですが笑)

チベット仏教のことやここでの暮らしのことなど踏み込んだ話はできなかったけど

 

彼の名はヌルプー(と聞こえる)

実は彼はこのゴンパのマネージャーをしていて

色んな部屋の鍵を持っていて朝開けにいくから一緒に来なさいと促される。

中々ない機会だし行ってみよう。

 

夜9時には寝床に着く。

すると床下からなにやら音がする。

なんだろうと思っていると

ヌルプが手招きして外へ出て下の階へ。

 

すると3人のちびっ子僧たちがお経の練習をしていた。

そういうことか。

ここが僧侶たちの巨大な修行の場であることを改めて実感する。

 

子どもたちが唱えるお経を聞きながら眠りに着いた。

 

 

******2019.7.21******

 

翌朝4時。

まだ夜も明けないときにふと目が覚ますとロウソクの灯が。

 

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なんだろうと奥をみるとヌルプがお経を唱えていた。

これが僧侶の生活。

 

彼はその後もしばらくお経を唱え

5時ごろ,一緒に外に出るよう促される。

 

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ザンスカールの朝は僧侶に合わせたように早く,外はもう明るくなってくる。

 

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彼はに仏像が納められた部屋を一つ一つ巡り鍵を開け

 

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水を供え

ロウソクに火を灯し

お経を唱える

 

これをいくつもの部屋で繰り返す。

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最後の部屋は毎朝プージャー(礼拝)が行われる場所。

 

6時半くらいから徐々に僧侶たちが集まり

7時ごろプージャーが始まる。

 

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プージャーはお経を唱えながら

合間合間で食事を摂って

またお経を唱える

これが1時間続く。

  

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プージャーが終わるとヌルプと一緒にお宅へ戻る。

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外はすっかり明るく,ザンスカールの大地がくっきり見える。

 

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最後に1枚だけ写真を撮らせてもらった。

ひと晩泊めてもらって,朝は彼と一緒に行動を共にして

短い時間だったけど貴重な時間だった。

 

宿泊費なんていうと受け取らなかったので

気持ちはゴンパへの寄付という形で納めた。

 

そして別れのとき。

彼は村人たちが集まるマニ車へ向かう。

 

ゴンパから下っていると坂を上ってくる村人たちとすれ違う。

 

マニ車の方を振り返ると

ジュレーの挨拶の後に彼のお経を唱える声がする。

 

きっと同じ営みを代が変わっても何百年も続けていて

その中にほんの一瞬だけお邪魔させてもらった。

 

そんな不思議な時間でした。

 

 

その後

昨日の商店のおっちゃんのとこへ行くと

パドゥムへ行く用事があるからついでに車で送ってくれるとのこと。

なんと!!

ここには神と仏しかいないのか!!号泣

 

ありがたく乗せてもらいパドゥムへ。

パドゥムでは前の宿が居心地よかったのでカムバック。

 

今日はカルシャからもう少しだけ奥に行ったStongde(ストンデ)のゴンパで年に一度の祭りがあるということで行ってみます。

 

乗合のタクシーを使おうかと思ってたけど今日は日曜日だから営業していないらしい。

これはヒッチハイクしかないなぁ。

 

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パドゥムのメインストリート近く,ストンデ方面に伸びる道の入口で行き交う車に声をかけていると,一人の日本人に話しかけられる。

 

同じストンデの祭りに行くようで,1人でラダックを何回も旅しているハチさん。

ザンスカールは初めてらしいですがかなり旅慣れていて

ヒッチハイクもサクサク声をかけてタダでストンデまで連れていってもらえました。

 

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ストンデゴンパから見たストンデの村。

ここはかなり高いところにあるゴンパで景色もダイナミックです。

 

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会場の広場は人がどんどん集まってきています。

 

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一張羅でバチっとキメたおじいさま。

年に一度の祭りとあって民族衣装でしっかりコーディネートした人も多いです。

 

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炊き出しも。

 

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まずは僧侶のみなさんが音楽隊のような形で楽器を演奏しながら登場

 

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仮面ときらびやかな衣装を纏った人たちが登場

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出てくる人は大体仮面を被ってますがどれも個性的。

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そして巨大なヤクも登場。

体になにやら赤い液体を塗られますが

途中で大暴れ。

動画がアップできないのが残念ですが

会場がかなりざわめいた(盛り上がった)瞬間でした。

 

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そしてメインの舞踏。

仮面を被った2人が広場を回るように踊ります。

 

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仮面が特徴的。

どうやら違う仮面の踊り子が続々と登場するようです。

 

この辺で帰りが大混雑しそうだったので早めにパドゥムへ戻ること。

 

祭りは踊り子が足を絡めてしまってもがんばれー!とエールが送られたり

温かい雰囲気もあって良い祭りだなと思いました。

 

年に一度というのもあって,地元の人たちが本当に楽しみに来ている感じが伝わってきて,やっぱ祭りって良いなぁと実感。

 

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全然関係ないけど

帰り際に行ったトイレ。

絶景すぎて「天国に一番近いトイレ」に認定したい。

 

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パドゥムに戻って夜は宿のレストランで最後の晩餐。

Thenthuk(トゥントゥク?)というモチモチ平麺の煮込みうどん。

チベット料理は美味しい日本食に置き換えて説明できる料理が多くて,日本人の口に合うんだろうな。

 

 

今回短い滞在でしたが,ザンスカールは自然,人,まち,宗教,文化,何を取っても他にはない奥深さがあるところだと思います。

 

そんなザンスカールの良さはくしくも死ぬほどアクセスが悪いという条件のもとに保たれてきたところもあると思いますが,

今,レーからザンスカールへもっと早くアクセスできる道路の建設が進められているそう。

アクセスが便利になって外部の人やモノの流入が盛んになると,ザンスカールも確実に変わっていくはず。

世界中の秘境と言われる場所はきっとどこも同じ運命にあるんだと思いますが,

それでも現地で良い出会いがあると,そこがどう変わっていってもまた会いに行きたくなる,それも旅の良さかなとも思います。