みずのが世界の片隅で

2019年5月21日から世界一周。できるだけ陸路で。高校の地図帳持って旅してます。

【中国・タシュクルガン】中国の今。情報統制の厳しさを知る。2019.9.29

今日は日曜日でパキスタン国境が休みのためタシュクルガンで一日待機。

 

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タシュクルガンはまちそのものより周辺の自然が観光資源になっているので

まちに見所があるわけじゃないと聞いてますが

とりあえずどんなまちにいってもまち歩き!

 

てことでさっそく外へ。

 

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宿の横にはどでかいヤク肉。

 

商店街のように色んなお店が軒を連ねる通りがありましたが

今日は日曜日というのもあってかシャッターは閉まっているところが多いです。

 

通りの真ん中にデカソファー。

家具屋さんみたいです。

 

道路脇で集まって話してる人たち。

何を話しているんだろう。

中国はビックリするくらいみんな中国語しかしゃべれないので

中国語ができないとコミュニケーションに困ることも。

 

トイレの場所を訊くときもどこかで撮ったトイレマークの写真を見せたりします。

 

まぁ日本に来た外国人もこの国の人たちはよりによって世界で一番難しい日本語しかしゃべらないなぁと思ってるかもしれないですが。

 

でも日本は良い感じに外国文化に被れているので

まちを歩いてると自然に英語表記してあることも多いですね。

 

中国は表記もオール漢字ですからね。

 

日本人にとっては助かりますがアメリカ人たちは本当に困る!

早く英語の通じる国へ行きたい!と言ってました。笑

 

まぁなんだかんだ英語をネイティブにしゃべれるんで

どこの国へ言っても不自由なく旅できると思ってる節もあるんでしょうが

世界はそんなに単純じゃない。

 

中央アジア,東欧→ロシア語

中南米スペイン語

アフリカ(特に西)→フランス語

 

英語がほとんど通じない地域はたくさんあります。

 

話が逸れましたが

 

色々考えながら歩いてるとお腹がへってきたので

適当に食堂に入ります。

 

写真や料金表示もあってありがたい。

 

で,何にしようか迷ってたまたま1人で食べてた中国人男性の麺を見て

同じのを注文。

決めるのめんどくさいんでこういうこと多いです。笑

 

名前は分からない何かの麺。

優しい味で一瞬で完食!

やっぱり基本的に中華って日本人と相性いいんだなぁ。

 

で,注文の流れで中国人男性とトーク

彼はバンバン。(ニックネーム)

自分と同じ31歳で車で中国国内を何ヶ月も旅しているらしい。

英語がしゃべれて明るく同い年というのもあって意気投合。

 

で,今日はこれからどうするの?と聞かれ

特に決めてないというと

郊外に景色が良いところがあるらしいから行こうよ!

と誘ってくれてドライブに行くことに!

 

バンバンの車は中国製のリーズナブルなやつで

普通車だけど150万くらいで買えるんだとか。

 

上には自転車を積んで中にはテントや寝袋

アクションカメラにドローン,一眼,三脚とアクティブな旅グッズがこれでもかと積み込まれてて楽しそう。

 

車内では中国で流行ったという日本の曲を流してもらったりして

「思ひ出」って曲なんだけど

全然日本で聞いたことない。笑

 

あとは宮崎駿だ!と。

そういえばジブリアニメは中国で人気みたいですね。

 

車はタシュクルガンからパキスタン国境方面へ南下して途中で山道へ。

 

 

村も人も動物もみかけない山道を登っていくと

 

峠のようなところへ到着。

 

車を停めて徒歩で少し登っていくと

 

遠くまで見渡せる景色の良いスポットへ。

 

 

東にはカラコルム山脈

北にはムシュタグという有名らしい雪を被った巨大な山。

吹き抜ける風も気持ちよくて素敵な場所でした。

 

と,文字でつらつらと書いているのは

この後引っかかった検問で警官にほとんどの写真を消されてしまったから。

 

うーむ。

ひとまず先へ歩を進めましょう。

 

峠を越えて下りへ向かうとヘアピンカーブが幾重にも続くフォトジェニックな光景が!

 

ヘアピンカーブで出会ったワンちゃんとカラコルム山脈

(他の写真はこの後全て消去されることになります)

 

今走っている道自体最近できた新しい道らしいですが

もう有名になってるぽくて他にも中国人観光客が来てました。

 

ここでバンバンがドローンを出して撮影。

12万したという中国製ドローンは見た限り超性能がよくて動きが機敏。

 

かなり離れたところまで飛ばすことができて

 

自分たちの車を走らせながらその様子を上空から追っかけて撮影したり

かなりダイナミックな映像が撮れて見てる方も面白かったです。

 

で,絶景スポットも満喫して反対側のふもとに下りてくると

タジク族のエリアだというのどかな村の風景が。

ラクダや馬が放牧されていてなんとも素敵な風景。

ルンルンで写真を撮りながら車を走らせていたところでついに来ました。

 

検問。

 

全ての車が停められ中国人はみんなIDカードを見せて終了。

 

なんですが僕は外国人のためパスポートを渡し

警官がさらに上の方へ連絡を取って何か確認してる模様。

 

すると

通行するのは良い。

しかしカメラはNGだ。

今撮った写真も見せなさい。

とのこと。

 

カメラを渡すと片っ端から消去していく警官。

ある程度覚悟はしていたけど実際に写真が消されていくと悲しい。

 

政府や軍の施設を撮影しているわけでもなく(新しくできたこの道路はダメなのかもしれないけど)

美しい山々や村の風景がほとんど。

そんな写真もほぼ消されてしまいました。

 

その後,車は美しいタジク族の村を走っていきますが

テンションはだだ下がりな僕は

「どうせ撮ってもまた消されるしな」

と思いカメラを構える気がなくなりました。

 

バンバンに

「落ち込んでるのか?」

と声かけられ

「そりゃそうだよー」

と返すと

「まだいいさ。最低ラインは守られたんだから。」

 

そう励ましてもらい

 

その後たまたま見つけた美しい湖では気を取り直して写真を撮りました。



中国の情報統制の厳しさを身を持って感じた経験。

中国政府のこのやり方は果たして今後も成功を収めていくのか。

 

いくつもの国と国境を接する広大な国土に13億もの人口

多くの民族が暮らす国の国民を

いくら力で抑え込もうとしてもいつか限界が来ると思う。

 

ただ国民のマジョリティである漢民族に対しては中国政府の政策は思い通りに機能しているのかもしれない。

というのもバンバンと話していて興味深かったのは

中国の新彊に対する政策に対する一般人としての認識。

 

監視カメラはたくさんあるし

公安のチェックも異常なくらい多い。

 

自分の中で得た情報と感覚的には

これらの政策は

ウイグル族など漢民族以外の民族の自由を奪うもの」

「弾圧とも取れる強権的な政策の実態や漢民族以外の民族の不満を外に漏らさないようにするため」

そんな風に映るけど

 

バンバンに聞くと

「新彊に行くことを友人に言うと「あんな危ないところ行くの?」と心配される。

けど実際にはこれだけ監視体制がしっかりしているお陰で安心さ」

という。

 

漢民族の中で「新彊が危ない」というのはテロリストを生み出すイスラム教を信仰するウイグル族が暮らしているからであり

 

監視カメラや公安の検問も

「野蛮なテロリストの活動を防ぐため」

という理由で一般人の間でも受容されているよう。

 

走っている途中に見えた最近建てられたらしいデザインの家々を指さして

 

「新彊に暮らす少数民族の人たちは貧しい。

だから中国政府は彼らのために無償で家を建ててあげているんだ。

僕らは当然自分でせっせと働いたお金で家を建てないといけない。

こんなに優遇されているのに反政府運動やテロがなぜ起きるのか理解できないよ。

というバンバン。

 

確かに事実だけを見ればそう映るのも無理はない。

バンバンの意見や感情は至極当然のように思える。

 

でも無償で建てられたという家々は

まわりの美しい自然と不釣り合いなコンクリートの無機質なもので

もしかしたら少数民族の人たちが望んでいるのは綺麗な家じゃなく

先祖代々守り続けてきた土地や風習や暮らしを細々とでも続けていくことなんじゃないか

と思えてしまう。

 

自分はジャーナリストでもないしちゃんと現地の人に話を聞いたわけでもないから

今自分が思っていることには何の根拠もないし偏りがあるかもしれない。

 

それでも何か違和感を感じてしまう中国での日々です。

 

モヤモヤすることも多いけど

こんな風に色々考えさせてくれるバンバンとの会話は貴重な時間。

 

半日ずっと運転して色んな話をしてくれてありがとう!!

 

タシュクルガンに戻って来るともう夕方。

バンバンは今日はここで1泊するというので同じK2ユースホステルにチェックイン。

 

バンバンと夕飯を食べに行くことにして

昨日に引き続きロビーで会ったアメリカ人のアレンと

たまたま居合わせたローカルボーイと4人で近くの食堂へ。

 

 こういうときにローカルが一緒だとオーダーもお任せ出来て頼もしい。

 

大皿で出てきたのは

ホイコーロー,チンジャオロース,麻婆豆腐,トマトと卵の炒め物

 

そしてなんといっても白米がモッチモチ!!

米といえばこれだよ!!

おかわりし放題だったので頼みまくって軽く2合は食べました。

 

支払いのときも「君たちはゲストだから!」

とバンバンとローカルボーイで済ませてくれて感謝しかない。。

 

中国政府にはモヤモヤするけど

バンバンは気持ちの良いホスピタリティの持ち主でした。

 

本当にありがとう!!!